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2025.04.28  愛猫の咳、単なる毛玉じゃないかも?|気管支炎の原因と見分け方

愛猫が「ケホッ、ケホッ」としている様子を見ると「また毛玉を吐こうとしているのかな?」と思われる飼い主様も多いかもしれません。

確かに、猫はグルーミングが好きな動物なので、毛玉を吐くための動きはよく見られます。しかし、その咳は実は毛玉ではなく「気管支炎」という呼吸器の病気のサインかもしれないのです。気づかずに放っておくと、慢性化したり、呼吸が苦しくなってしまうこともあるので注意が必要です。

今回は、猫の気管支炎について、原因や症状の見分け方、治療・予防のポイントをご紹介します。

■目次
1.猫の気管支炎の主な原因とは?
2.気管支炎の症状|こんな症状があれば注意しましょう
3.診断と治療|まずは原因の見極めが大切
4.気管支炎の予防と再発防止のポイント
5.まとめ|「毛玉かな?」で済ませず、早めの相談を

猫の気管支炎の主な原因とは?

猫の気管支炎は、大きく分けて「ウイルス性」と「アレルギー性(喘息タイプ)」の2つがあります。それぞれの原因には違いがあり、対策のポイントも異なります。

<ウイルス性気管支炎>

他の猫からの感染がきっかけで起こることが多いタイプです。主に「猫カリシウイルス」や「猫ヘルペスウイルス」といったウイルスが原因になります。

特に注意が必要なのは、次のような環境にいる猫たちです。

多頭飼育をしているご家庭
外に出ることがある猫
外猫と接触する機会がある猫

感染によって呼吸器に炎症が起き、気管支炎に進行してしまうことがあります。また、子猫や高齢猫では、体力や免疫力が低いため、重症化しやすい傾向があります。

<アレルギー性気管支炎(猫の喘息)>

猫の喘息とも呼ばれるタイプで、ウイルス感染とは異なり、環境中のアレルゲン(刺激物質)によって引き起こされます

代表的なアレルゲンには以下のようなものがあります。

ハウスダスト
花粉
タバコの煙
香水や芳香剤などの強い香り
カビやダニ
掃除機で舞い上がるホコリ

これらのアレルゲンが原因となって気道に炎症が起こり、慢性的な咳が続いたり、季節や環境によって症状が悪化することがあります。

そのほか、細菌感染や誤って吸い込んだ異物などが気管支炎の原因となることもあります。いずれの場合も、放置すると悪化するおそれがあるため注意が必要です。

気管支炎の症状|こんな症状があれば注意しましょう

猫の気管支炎では、次のような症状が見られることが多くあります。特に「咳」は、気管支炎の代表的な症状です。

<気管支炎に多い典型的な症状>

乾いたような咳(コンコン、ケホケホといった音)
くしゃみ
呼吸が速い
息をするのが苦しそう
体を丸めるような姿勢で咳をする
お腹を大きく動かしながら呼吸している

ウイルス性では、咳やくしゃみに加えて、発熱や鼻水、目やになどの症状が一緒に見られることが多いのが特徴です。一方、喘息では、咳が長引いたり、運動や興奮したときに悪化しやすい傾向があります。

<こんな症状があればすぐに受診を!>

次のような状態は、呼吸困難に陥っているおそれがあり、緊急性が高いサインです。すぐに動物病院を受診してください。

口を開けてハアハアと苦しそうに呼吸している
お腹や胸を大きく動かして必死に呼吸している
呼吸の回数が異常に速い
動かずじっとしている、ぐったりしている

猫の咳や呼吸が苦しそうな様子は、気管支炎に限らず、他の病気でも見られることがあります。たとえば、心臓の病気(心不全など)や肺に水がたまる肺水腫、気管が押しつぶされる気管虚脱、肺の腫瘍、さらには異物の誤飲や誤って吸い込んでしまったものが原因になることもあります。

こうした病気は、見た目の症状だけで見分けるのが難しく、正確な診断には動物病院での検査が欠かせません。咳や呼吸の異変に気づいたときは、早めに受診することが大切です。

診断と治療|まずは原因の見極めが大切

気管支炎の治療を進めるうえで、まず大切なのは「原因が何か」をはっきりさせることです。

当院では、まず問診や身体検査で症状の経過や生活環境について詳しくお話を伺います。さらに必要に応じて、次のような検査を行い、「ウイルス性」か「アレルギー性(喘息)」かを見極めていきます。

X線検査:肺の状態を確認し、気道に炎症や閉塞がないかを調べます。
血液検査:感染症や炎症の有無を確認し、全身の健康状態を把握します。
アレルゲン検査:アレルギー物質が関係していないかを調べます。

治療は、原因によって方法が異なります。

<ウイルス性の場合>

抗生物質や抗炎症剤などの内服薬を使い、症状を和らげる治療が中心となります。

<アレルギー性(喘息)の場合>

吸入ステロイドや内服薬で気道の炎症を抑える治療を行います。喘息は慢性化しやすいため、治療とあわせて生活環境の管理も大切です。

<ご家庭でできるケア>

治療とあわせて、ご家庭での環境づくりも重要です。例えば、加湿器を使って空気の乾燥を防いだり、静かでリラックスできる環境を整えてあげることで、症状の悪化を防ぐサポートになります。

気管支炎の予防と再発防止のポイント

気管支炎は、日ごろの対策によって発症や再発のリスクを減らすことができます。原因別に気をつけたいポイントをご紹介します。

<ウイルス性への対策>

ウイルス性の場合は、ワクチン接種が有効な予防方法です。特に外に出る機会がある猫や、多頭飼いのご家庭では、年に1回のワクチン接種を忘れずに行いましょう。
また、他の猫への感染を防ぐため、症状が出ている間はできるだけ接触を控えることも大切です。

ワクチンについてはこちらから

<アレルギー性(喘息)への対策>

アレルギー性の場合は、アレルゲン(原因となる刺激物)をできるだけ取り除くことがポイントです。以下のような工夫が役立ちます。

掃除や空気清浄機で室内を清潔に保つ
煙や香水、芳香剤などの強い香りは避ける
ベッドやくつろぐ場所は、床より少し高い位置に設置する(床近くはアレルゲンがたまりやすいため)

このように、治療とあわせて生活環境を整えることが、愛猫の健康維持や再発防止につながります。

まとめ|「毛玉かな?」で済ませず、早めの相談を

猫の咳は、実は毛玉よりも気管支炎が原因であることの方が多いと言われています。気管支炎は、放っておくと呼吸困難を引き起こすこともある、決して油断できない病気です。だからこそ、日頃からのちょっとした変化に気づき、早めに受診することが、愛猫の健康を守る大切なポイントになります。

小さな変化に気づけるのは、毎日そばにいる飼い主様だからこそ。「少し苦しそうかも?」「咳がいつもと違うかも?」と感じたら、どうぞお気軽にアルファ動物病院までご相談ください。

当院の診療案内はこちら
葛飾区高砂にある【アルファ動物病院】
TEL:03-3609-6304

診療時間:10:00~12:00|15:00~19:00 ※受付18:30まで
休診日:日曜・祝日
住所:東京都葛飾区高砂8-30-12
駐車場:専用駐車場1台あり(病院の1階が駐車場です)
最寄駅:京成高砂駅(京成線)から徒歩5分
駅改札を出て、左の階段を下り、踏切のある道路を(バスが通っています)、踏切を背にしてまっすぐ歩きます。
ひとつめの信号(角に伊勢屋さんというおにぎりやさんがあります)をとおりすぎたらすぐ、道路の左側にあります。1階が駐車場、2階が病院になっています。