2024.11.26 猫がごはんを食べないのはなぜ?|口の痛みや病気のサインを見逃さないために
猫が食べない、または口が痛そうにしている場合、それは重大な病気のサインかもしれません。特に、急に食欲が落ちるような変化には注意が必要です。
猫はもともと体調の不調を隠す傾向があるため、「食べない」「口が痛そう」といった様子は、健康状態を知る上で重要なサインといえます。
早めに異変に気づき、適切に対応することが愛猫の健康を守るポイントです。
今回は、猫の食欲不振について原因や治療法、対処法について解説します。
■目次
1.食欲不振のサイン
2.口腔内の痛みを示すサイン
3.考えられる原因
4.緊急性の判断ポイント
5.治療法
6.家庭でできる対処法
7.まとめ
食欲不振のサイン
猫が食欲不振に陥った場合、以下のようなサインが現れることがあります。
・食べ方の変化:いつもよりゆっくり食べる、噛むのを避ける
・食事量の減少:食べ残しが増える、食べ物への興味が薄れる
・その他の行動の変化:無気力になる、隠れることが多くなる、毛づくろいの頻度が減る
普段から猫の食事量や行動をよく観察しておくと、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。特に、24時間以上まったく食べない場合や、48時間以上にわたって食事量が普段の半分以下になっている場合は体調が急激に悪化する可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
口腔内の痛みを示すサイン
猫が口に痛みを感じているときには、次のような特徴的な行動が見られることがあります。
・食べ物を口に入れた直後に落とす
・片側だけで噛む
・よだれが増える
・噛む際に痛そうな表情や仕草をする
さらに、口に触られるのを嫌がる、鳴き声が小さくなるといった変化が見られる場合もあります。
考えられる原因
猫の食欲不振や口の痛みの原因として、以下のような口腔内疾患が考えられます。
・歯周病
歯周病は、歯と歯茎の間に炎症が起こる病気です。特に歯石がたまりやすい高齢の猫に多く見られます。進行すると歯茎が後退したり、歯が抜けたりすることがあり、強い痛みを伴う場合もあります。
・口内炎
口内炎は、口の中の広い範囲に炎症が起こる病気です。治りにくいこともあり、猫エイズ(FIV)やカリシウイルス病などのウイルス性感染症が関係している場合もあります。
・腫瘍
口の中にできる腫瘍は、若い猫から高齢の猫まで発症する可能性があります。良性のものから悪性のものまでさまざまで、早期発見が鍵となります。
歯茎の腫れやしこりを発見した場合は注意深く観察し、早めに診察を受けましょう。
これらの口腔内疾患は、腎臓病や糖尿病といった全身の病気と関係していることがあります。そのため、口の中に問題が見られたときは、ほかの健康状態についても一緒に確認しておくことが大切です。
また、猫の年齢によって発症しやすい病気は異なります。若い猫では感染症や異物を飲み込んでしまうことが原因になりやすく、一方で高齢の猫では慢性的な病気や腫瘍のリスクが高くなる傾向があります。
緊急性の判断ポイント
以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
・完全に食欲がなくなる
・頻繁に嘔吐する
・血液が混じったよだれを垂らす
・顔が腫れる
また、猫の食欲不振の状態が長く続くと、肝リピドーシス(脂肪肝)という命に関わる病気を引き起こす可能性があります。特に、肥満気味の猫で食事を取らない期間が長引くとリスクが高まるため、早めの対応が重要です。
治療法
猫の食欲不振や口の痛みの治療は、原因に応じて異なります。
<歯周病の場合>
歯石除去や抗生物質の投与が一般的です。進行度によっては抜歯が必要になることもあります。
<口内炎の場合>
抗炎症薬や免疫抑制剤を使用することがあります。難治性の場合は、継続的な管理が必要です。
<腫瘍の場合>
外科的切除、放射線治療、または化学療法が治療の選択肢となります。腫瘍の種類や進行具合に応じて治療法が決まります。
また、腎臓病や糖尿病などの全身疾患が関係している場合には、その治療も並行して行われます。
家庭でできる対処法
家庭で一時的にできる対処法として、以下のような工夫があります。
・食事を温める:食事を少し温めることで香りが強くなり、猫の食欲を引き出しやすくなります。
・少量を頻回に与える:一度にたくさん食べられない場合、少量ずつ何回かに分けて与えるとよいでしょう。
・手で食べさせる:手で食べさせることで、猫が安心して食べられる場合があります。
ただし、これらの方法は一時的な対処に過ぎません。食欲不振の根本的な原因を解決するには、必ず獣医師の診断と治療を受けることが大切です。
まとめ
猫の食欲不振や口の痛みは、体調不良や重大な病気のサインである場合があります。普段から愛猫の食事量や行動をよく観察し、いつもと違う様子に気づいたら、早めに対応することが大切です。例えば、食事を残すことが増えたり、食べ方に変化が見られた場合は注意が必要です。
健康を維持するためには、日頃のケアが重要です。
定期的に歯磨きを行うなどの口腔ケアを習慣づけ、栄養バランスの取れた食事を与えることで病気のリスクを減らすことができます。
また、年に1~2回の健康診断を受けることで、まだ症状が現れていない潜在的な問題を早期に発見できる可能性が高まります。
愛猫がいつまでも元気でいられるよう、小さな変化にも敏感になり、必要に応じて獣医師に相談することを心がけましょう。
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