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2025.08.04  子犬と夏を乗り切る水分管理術! 脱水サインと迷ったときの相談タイミングとは

初めての夏を迎える子犬にとって、暑さは思っている以上に大きな負担になります。人間にとって「暑い」と感じる日は、体のつくりが未発達な子犬にとっては、さらに過酷な環境です。

特に体温調整や水分保持がまだ未熟な時期には、少しの脱水でも命にかかわるおそれがあるため、十分な注意が必要です。

今回は、子犬が脱水になりやすい理由や、水分補給の目安、家庭でできるケアのポイントなどをご紹介します。

■目次
1.子犬は脱水しやすい?成犬との違いを知っておこう
2.どれくらい飲めば安心?水分摂取量の目安とチェックポイント
3.脱水のサインを見逃さない|家庭でできる見極めと対応策
4.子犬の水分補給をサポートする工夫|暑さ対策と快適環境づくり
5.まとめ

子犬は脱水しやすい?成犬との違いを知っておこう

子犬の体はまだ発育途中で、体温をうまく調節したり、水分をしっかり保持したりする力が十分ではありません。そのため、成犬と比べて脱水になりやすく、体調を崩すリスクが高い傾向にあります。

特に夏場は、

・室温の上昇による体温の上昇
・興奮や遊びすぎによる消耗
・暑さによる食欲や飲水量の低下

など、脱水につながる要因が重なりやすい季節です。

さらに子犬は、自発的に水を飲みに行く回数が少ないこともあるため、飼い主様の工夫やサポートが欠かせません。

どれくらい飲めば安心?水分摂取量の目安とチェックポイント

子犬が1日に必要とする水分量は、体重1kgあたり約50〜80mLが目安とされています。たとえば、体重3kgの子犬であれば、最低でも150mL以上の飲水が必要です。

とはいえ「飲んでいるように見えて、実は足りていない」というケースも少なくありません。特にドライフード中心の食生活では、フードからの水分摂取が少なくなるため、飲水量そのものを把握しておくことが大切です。

<水分摂取量を把握するための工夫>

水分が足りているかどうかを感覚で判断するのは難しいため、できるだけ客観的に確認することが大切です。

・水の容器に目盛りをつけて、飲んだ量をチェックする
1回の取り換え時にどれだけ減っていたかを確認し、1日トータルの摂取量を記録しておくと安心です。

・排尿の様子をチェックする
水分が足りていないと、おしっこの色が濃くなったり、回数が減ることも。排泄の様子も水分バランスを知る手がかりになります。

子犬の体に合った水分ケアを心がけることが、夏を元気に乗り切るための第一歩になります。

脱水のサインを見逃さない|家庭でできる見極めと対応策

子犬の脱水は進行が早く、気づいたときにはすでに危険な状態になっていることもあります。特に夏場は、ちょっとした変化も見逃さず、早めに対処することが大切です。

<脱水の初期サイン>

次のような変化が見られた場合には、脱水が始まっているおそれがあります。少量ずつこまめに水分補給を行いながら、できるだけ早めに動物病院の受診をご検討ください。

口の中が乾いてネバネバしている
皮膚を軽くつまんでもすぐに戻らない
目が落ちくぼんで見える
元気がなく、寝てばかりいる

ただし、脱水は見た目だけで判断が難しいこともあります。「少し様子が気になる」と感じた時点で、迷わず動物病院にご相談いただくのが安心です。

<緊急性の高い症状>

以下のような症状が見られた場合には、すぐに動物病院へご連絡ください

嘔吐や下痢が続いている
体が熱い、または震えている
ぐったりして立ち上がれない

脱水が重度に進行しているおそれがあるため、迅速な対応が命を守ることにつながります。

子犬の水分補給をサポートする工夫|暑さ対策と快適環境づくり

子犬に十分な水分をとらせるには、単に水を置くだけではなく「飲みやすさ」と「飲みたくなる工夫」の両方が大切です。

特に夏場は、室温や湿度、騒音や設置場所など、ささいな要素が飲水行動に影響することもあります。無理なく水分をとってもらうために、以下のような工夫を取り入れてみましょう。

<飲みやすい環境のつくり方>

子犬が自然と水を飲めるよう、環境の工夫から始めてみましょう。

水の器を複数の場所に設置する
ケージやリビング、寝床のそばなど、子犬がよく過ごす場所に水を置くことで、ふとしたタイミングで自然に水を口にしやすくなります。

静かで落ち着いた場所に置く
人の出入りが多い場所やテレビの近くなど、騒がしい場所では落ち着いて水を飲みにくくなることもあります。安心できる空間に水を設置しましょう。

器の高さや形状を見直す
子犬の体格に合っていない器は、首や足に負担がかかり、飲みにくさの原因になります。低すぎず高すぎず、飲みやすい位置と角度に調整してあげましょう。

水の鮮度を保つ
ぬるくなった水や汚れた水は、子犬が口をつけたがらないことがあります。こまめに交換して、常に清潔な水を用意しましょう。

室温・湿度にも配慮する
室内環境が快適でないと、子犬は体調を崩しやすくなり、水を飲む意欲そのものが下がってしまうこともあります。室温は24〜26℃湿度は50%前後を目安に保ち、エアコンの風が直接当たらないように気を配りましょう。

<水分補給を促す工夫>

食事や風味づけなど、飲水を促すためのひと工夫も効果的です。

ウェットフードを取り入れる
ドライフードと比べて水分を多く含むため、自然と水分摂取量を増やすことができます。子犬の消化に負担がかからないよう、切り替えは慎重に行いましょう。

食事に水やスープを加える
いつものフードに少量の水やぬるめのスープ(塩分・添加物なし)を加えるだけでも、水分摂取量の底上げにつながります。

風味づけで興味を引く
水にごく少量のちゅ〜るや鶏のゆで汁を加えると、香りにつられて飲んでくれることがあります。ただし、与えすぎや常用は避け、あくまで一時的な補助として使いましょう。

水の温度に配慮する
冷たすぎる水はお腹を冷やしてしまうこともあります。常温~ややぬるめの水が、子犬にとって飲みやすい温度帯です。

こうした日々のちょっとした工夫の積み重ねが、子犬の健康を守ることにつながります。できることから、少しずつ取り入れてみてください。

また、体調を安定させておくことは、今後予定されているワクチン接種や避妊・去勢手術に向けた備えとしても大切です。すこやかに成長していくための土台づくりは、将来の健康を支える第一歩となります。

当院では、子犬の避妊・去勢手術にも対応しております。「いつ頃がいいのかな?」といったご不安も含めて、お気軽にご相談いただければと思います。

まとめ

子犬にとっての夏は「体がまだ未熟であること」そのものがリスクになります。特に脱水は進行が早く、気づいたときにはすでに重症化しているケースも少なくありません。

「なんとなく元気がない」「飲水量が減ったかも?」と感じたら、様子をみるよりも、まずはご相談ください。また、普段から飲水量を記録したり、飲みやすい環境を整えたりといったちょっとした工夫の積み重ねが、子犬の体調を大きく左右します。

当院では、子犬の夏バテ対策や水分管理に関するご相談も受け付けております。「まだ大丈夫かな?」と迷う前に「一度聞いてみようかな」というお気持ちで、お気軽にご相談いただければと思います。

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