2025.01.28 愛猫の口内炎に要注意!原因や症状そして治療法について
猫の口内炎は、単なる口の中の炎症とは限らず、進行すると深刻な健康問題につながることがあります。
放置すると食欲不振による体重減少や、全身状態の悪化を引き起こすおそれがあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。早めに治療を始めることで、生活の質(QOL)を保つことにもつながります。
今回は、愛猫の健康を守るため、口内炎の症状や原因、適切な対処法について詳しく解説します。
■目次
1.口内炎の種類と特徴
2.見逃せない初期症状
3.要注意!こんな症状がある場合
4.診断と検査について
5.治療法について
6.日常的なケアと管理
7.予防と定期検診の重要性
8.まとめ
口内炎の種類と特徴
猫の口内炎には、一般的な口内炎と重度の口内炎があります。一般的な口内炎は局所的で比較的軽度ですが、重度の口内炎は広範囲に及び、慢性化しやすい特徴があります。
特に注意が必要なのは、「リンパ球性形質細胞性口内炎(LPGS)」と呼ばれる重度の口内炎です。これは免疫系の異常が関与していると考えられており、口腔内全体にわたる炎症が特徴です。
LPGSは成猫から高齢猫に多く見られ、特定の品種に偏らず発症します。この疾患は、猫の体が本来守るべき口腔内の細菌や組織に対して過剰に反応してしまうことで引き起こされると考えられています。
見逃せない初期症状
口内炎の初期症状として、以下のような変化に注意が必要です。
・よだれの増加
・口臭の悪化
・食べ方の変化(食欲低下、硬い食べ物を避ける、片側でしか噛まない)
・痛みを示す行動(口元を触られるのを嫌がる、顔を擦る)
これらの症状が続くと、全身状態の悪化にもつながるおそれがあります。食欲不振や栄養不足、体重減少を引き起こし、免疫力の低下にもつながります。こうした兆候が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
要注意!こんな症状がある場合
以下のような症状が見られたら、早急に動物病院を受診してください。
・著しい体重減少
・食欲の完全な消失
・口腔内の出血や潰瘍
・脱水症状(皮膚の弾力低下や目の窪み)
これらの状態を放置すると、体力の低下や二次感染を引き起こし、回復を遅らせる原因となることがあります。
診断と検査について
口内炎の診断は、まず口腔内の視診から始まります。獣医師が猫の口の中を詳しく観察し、炎症の程度や範囲を確認します。
血液検査では、炎症マーカーの上昇や免疫系の異常を示す指標を確認します。また、ウイルス感染(猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスなど)の有無も調べます。
必要に応じて、口腔内の細胞診や組織生検を行い、炎症の性質や原因をさらに詳しく調べることもあります。
治療法について
口内炎の治療は、症状や原因によって異なります。主な治療法は以下のとおりです。
・抗炎症薬や鎮痛薬の投与:炎症を抑え、痛みを和らげます。
・抗生物質の使用:二次感染の予防や治療に用います。
・免疫抑制療法:ステロイドや免疫抑制剤を使用して過剰な免疫反応を抑えます。
・歯科治療:歯石除去や必要に応じた抜歯を行い、口腔内環境を整えます。
特にLPGSのような重度の口内炎では、抜歯が効果的なケースもあります。
日常的なケアと管理
口内炎の再発や悪化を防ぐには、日常のケアが重要です。
<食事の工夫>
柔らかく温かい食事を与え、猫が痛みなく食べられるように配慮します。
<口腔ケア>
獣医師の指導のもとで歯磨きや洗浄を行い、口腔内を清潔に保ちます。
<ストレスの軽減>
静かで快適な生活環境を整え、猫の負担を軽くしましょう。
<痛みの軽減>
獣医師が処方した鎮痛薬を適切に使用し、痛みを抑えます。
予防と定期検診の重要性
口内炎の予防と早期発見には、日々のケアと定期的な歯科検診が非常に重要です。
年に1〜2回の検診を受けることで、口腔内の健康状態を維持し、問題を早期に発見することができます。また、普段の食事管理や適切な口腔ケアといった、予防的なケアを継続することで、口内炎の発症リスクを減らすことができます。
口内炎の管理は長期的な取り組みが必要です。獣医師と連携しながら、継続的なケアと定期的な観察を行うことで、早期発見・早期治療につながり、猫の苦痛を最小限に抑えることができます。
まとめ
猫の口内炎は、見過ごさずにケアしたい健康上の重要なサインです。口内炎の早期発見と適切な治療を行うことで、痛みの軽減といった身体的な改善はもちろん、生活全体の質を大きく向上させることができます。また、治療が遅れると症状が悪化し、他の健康問題を引き起こすこともあるため、日々の観察が欠かせません。
愛猫の口の中をこまめにチェックしたり、定期的に獣医師の診察を受けることで、口内炎の兆候を見逃さないようにしましょう。もし何か気になることがあれば、動物病院に相談することをおすすめします。
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