2024.11.08 犬の血便が出たらどうする?|原因から対処法、予防策まで徹底解説
愛犬の便に血が混じっているのを見つけたとき、不安や戸惑いが大きいと思います。
血便は、一時的な体調の変化が原因の場合もあれば、重大な病気のサインであることもあります。
今回は、血便の種類や原因を詳しく解説し、適切な対処法をわかりやすくお伝えします。さらに、いざという時の緊急対応や予防策についても触れていますので、愛犬の健康管理にぜひお役立てください。
■目次
1.血便とは?種類と見分け方
2.血便の主な原因
3.緊急度の判断|いつ獣医に相談すべき?
4.診断方法|どんな検査が行われる?
5.治療法
6.家庭でのケアと予防策
7.まとめ
血便とは?種類と見分け方
犬の血便にはいくつかの種類があり、主に次の2つに分けられます。
<鮮血便(せんけつべん)>
鮮血便は、鮮やかな赤色の血が便に混ざっている状態です。これは、血液が消化管の後半部(結腸や直腸)から排泄されるため、未消化のままの血がそのまま出てくるのが特徴です。
このような血便は、腸炎や消化器官の傷、消化管腫瘍、肛門周りの傷などが原因で起こることが多く、軽い炎症から重大な問題まで、幅広い可能性が考えられます。
<タール便(黒色便)>
タール便は黒く粘りのある便で、通常、胃や小腸など消化管の前半部で出血が起きた際に見られます。便が黒くなるのは、血液が消化液と混ざり、時間が経つにつれて変色するためです。
タール便は、胃潰瘍や消化管の損傷、寄生虫感染、腫瘍など、深刻な原因が潜んでいる場合があります。
血便の主な原因
犬の血便の原因はさまざまで、年齢や犬種によってもリスクが異なることがあります。ここでは、代表的な原因とそれぞれの特徴についてご説明します。
・食事の問題
急な食事の変化や脂肪分の多い食事は、犬の消化器に負担をかけ、血便の原因になることがあります。また、誤って異物を飲み込んだ場合も、消化器官が傷つき、血便を引き起こす可能性があります。
・消化器疾患
消化器疾患には腸炎や胃炎、膵炎などが含まれ、これらが原因で腸や胃に炎症が発生すると、血便が見られることがあります。
特に膵炎は中年から高齢の犬に多く見られ、放置すると症状が悪化することもあるため、注意が必要です。
・感染症
細菌やウイルス、寄生虫(ジアルジアや回虫など)の感染も血便の原因の一つです。特に免疫が弱い子犬や老犬は感染しやすく、注意が必要です。
・腫瘍やポリープ
腸や胃、その他の消化器官に腫瘍やポリープができると、血便が見られることがあります。特に高齢の犬や特定の犬種は腫瘍のリスクが高く、定期的なチェックが重要です。
・ストレス
環境の変化や精神的なストレスも消化器に影響を及ぼし、血便の原因になることがあります。特に敏感な性格の犬や新しい環境に置かれた場合には、血便が現れやすいことがあります。
・血液凝固異常
血液が正常に固まらない場合、出血が起こりやすく、それが血便として現れることがあります。血小板が少ない、あるいは血液凝固に異常がある犬は、定期的な検査で確認しましょう。
緊急度の判断|いつ獣医に相談すべき?
愛犬に血便が見られた場合、その緊急度を見極めることが大切です。以下のポイントを参考に、必要に応じて早めの診察をご検討ください。
・血便の量
少量の血が混じる程度であれば、一時的なものかもしれません。しかし、大量の血便や、鮮血便やタール便が繰り返し見られる場合は緊急性が高いため、早めに動物病院を受診しましょう
・血便の頻度
血便が一度きりであれば様子を見てもよいことがありますが、頻繁に血便が続く場合は体への負担が増し、状態が悪化する可能性もあります。
・他の症状の有無
血便と同時に嘔吐や食欲不振、元気の低下、発熱などが見られる場合は、重い病気の可能性も考えられるため、早めに動物病院を受診しましょう。
・年齢や既往歴
若い犬や高齢の犬、過去に消化器の問題を抱えたことがある犬は、血便のリスクが高いことがあります。このような場合は注意深く観察し、早めに相談するのが安心です。
診断方法|どんな検査が行われる?
犬に血便が見られた場合、まず問診と身体検査から診断を始めます。
問診では、食事内容や最近の環境の変化、症状が出始めたタイミングなどを詳しく確認します。その後、以下のような検査を行い、血便の原因を調べます。
・糞便検査
寄生虫や細菌、ウイルス感染の有無を調べます。特にジアルジアや回虫などの寄生虫は血便の原因となることがあるため、正確な診断が必要です。
・血液検査
血液検査では、貧血や感染症、内臓疾患などが血便の原因でないかを確認します。また、血小板の数や凝固機能の異常がないかもチェックします。
・レントゲン検査
異物の摂取や腫瘍の有無、消化器官の構造に異常がないかを確認します。消化器に負担がかかる原因がないかも、しっかりと調べます。
・超音波検査
腸や胃など臓器の内部状態を確認するための検査です。リアルタイムで臓器の動きや消化管の運動、炎症や腫瘍の範囲を詳しく調べることができ、血便の診断にはとても重要な検査です。
・内視鏡検査
内視鏡を使って胃や腸の内部を直接確認します。ポリープや潰瘍、腫瘍などの有無をより正確に診断できるため、原因の特定に有効です。
治療法
血便の治療方法は原因によって異なり、以下のような治療法が一般的に用いられます。
<薬物療法>
・抗生物質:細菌感染が原因の場合、抗生物質を使用して細菌を抑えます。
・駆虫薬:寄生虫感染が原因であれば、駆虫薬で治療します。
・制酸剤や胃腸薬:消化器の炎症を和らげ、消化器官の負担を減らすために使われます。
<食事療法>
消化器に負担をかけないために、低脂肪で消化に優しいフードが推奨されます。特に膵炎が疑われる場合には、脂肪分を控えた食事が必要になります。
<外科的処置>
異物を飲み込んでいる場合や腫瘍が原因で血便が起きている場合は、異物除去手術や腫瘍の摘出などの外科的な治療が必要です。
家庭でのケアと予防策
愛犬の血便を防ぐためには、日々のケアがとても大切です。
まず、消化器に優しい食事を選ぶことが基本です。特に消化器にトラブルが起きやすい場合は、低脂肪で消化しやすいフードがおすすめです。
食事内容を変更する際には、かかりつけの獣医師と相談しながら進めると安心です。
また、家の中や庭に小さな異物が落ちていないかも確認しましょう。プラスチックや小石、特定の植物などを誤って飲み込んでしまうと、腸の詰まりや消化器の傷の原因になることがあります。愛犬が安心して過ごせるよう、普段から環境を整えておくとよいでしょう。
さらに、定期的な健康診断も欠かせません。血便などの体調の変化に早めに気づくためには、年に1〜2回の健康チェックが大事です。
血液検査や便検査で、内臓や消化器の状態をしっかり確認してもらいましょう。
そして、ストレスも血便の原因になることがあるため、なるべくストレスをかけない環境を整えてあげましょう。愛犬が安心して過ごせる場所を作り、適度な運動や遊びで気分転換させてあげるのも大切です。
まとめ
犬の血便はさまざまな原因で起こることがあるため、早めに見つけて適切に対応することが大切です。愛犬の健康を守るために、日頃からの観察とケアを心がけましょう。
もし気になる症状が見られた場合には、早めに獣医師に相談することが安心です。
また、定期的な健康診断も予防には欠かせません。愛犬が健やかに過ごせるよう、早めの検査とケアを習慣にしていきましょう。
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