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2024.11.08 猫の血尿が心配|獣医師が解説する緊急性の見極め方と予防法

猫の尿に血が混ざっているのを見つけると、驚くと同時に「何か大変なことが起きているのでは?」と心配になりますよね。

血尿は、猫にとって痛みや不快感をもたらすだけでなく、体調に問題があるサインかもしれません。そのため、早めに適切な対処をすることが重要です。

今回は、猫の血尿の原因や適切な対処方法、緊急性を判断するポイントについて詳しく解説します。

■目次
1.血尿とは?症状と見分け方
2.血尿の主な原因
3.いつ動物病院に相談すべき?
4.診断方法|どんな検査が行われる?
5.症状と原因に応じた治療法
6.家庭でのケアと予防策
7.まとめ

 

血尿とは?症状と見分け方

「血尿」とは、その名のとおり、尿に血が混ざっている状態のことを指します。通常は、尿の色が赤やオレンジ、茶色っぽく変わるのが特徴です。
しかし、食べ物やサプリメントの影響で一時的に尿の色が変わることもあります。
もし、このような色の変化があっても他に異常が見られない場合には様子を見ることもできますが、明らかに血が混ざっている場合やいつもと様子が違うと感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。

 

血尿の主な原因

猫が血尿を発症する原因はさまざまで、代表的なものを以下にご紹介します。

尿路結石
尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができると、尿路の粘膜が傷つき出血するため、血尿が見られることがあります。

膀胱炎
細菌感染やストレスが原因で膀胱が炎症を起こし、血尿の原因となることがあります。膀胱炎は再発しやすい病気なので、予防と再発防止がとても大切です。

腫瘍
膀胱や尿道に腫瘍ができると血尿が見られることがあり、特に高齢の猫でリスクが高まります。早期発見が重要ですので、年齢に応じた健康チェックが勧められます。

外傷
事故や他の猫との喧嘩で体にダメージを受けると、膀胱や尿道が傷つき血尿が出ることがあります。

その他
腎臓病、血液の凝固異常、感染症なども血尿の原因となる場合があります。また、猫の体質や年齢、性別によっても発症リスクは異なりますので、それぞれの猫に合わせた予防が欠かせません。

 

いつ動物病院に相談すべき?

猫の尿に血が混ざっているのを見つけた場合、次のポイントを参考に緊急度を判断し、早めに動物病院を受診しましょう。

・血尿の量や頻度が増えている場合
少量の血尿が続いているだけでも頻度が増えてきた場合には、体調に問題が隠れている可能性があります。早めに動物病院で検査を受けましょう。

・血尿に加えて排尿困難や頻尿が見られる場合
何度もトイレに行くのに尿が出ない、または少量しか出ない場合、尿道閉塞や膀胱腫瘍が疑われます。こうした症状は命に関わることもあるため、すぐに動物病院で診察を受けてください。

・他の症状が見られる場合
元気がなかったり、食欲不振や体重の減少が見られたりする場合は、腫瘍や重い病気が潜んでいる可能性もあります。総合的な診断のためにも、早めの受診をおすすめします。

・猫が痛がっている様子を見せる場合
排尿時に痛がって鳴いたり、お腹を触ると嫌がる素振りがあれば、膀胱や尿道に問題があるかもしれません。こうした場合も、すぐに動物病院での検査が必要です。

 

診断方法|どんな検査が行われる?

猫に血尿が見られた場合、原因を突き止めるためにいくつかの検査が行われます。ここでは代表的な検査についてご紹介します。

尿検査
血尿の原因を調べるための基本的な検査です。尿の成分や細胞を詳しく分析し、尿中の赤血球や細菌の有無、結石の兆候などを確認します。
尿路感染症や結石の疑いがある場合には、重要な手がかりとなります。

血液検査
血液検査では、腎臓や膀胱の健康状態、さらには血が固まる力(血液凝固検査)も調べます。
腎臓の数値に異常が見られる場合、腎不全や腎疾患が原因である可能性があるため、血液検査はとても大切です。

画像診断(レントゲンや超音波)
尿路結石や腫瘍などの異常が疑われる場合、レントゲンや超音波検査でその大きさや位置、腫瘍の有無などを詳しく調べます。これにより、血尿の原因をより明確に判断できます。

尿培養検査
尿路感染症の可能性がある場合、尿培養検査で感染の原因となる細菌を特定します。細菌の種類に合った抗生剤を選ぶためにも、この検査が役立ちます。

 

症状と原因に応じた治療法

血尿の原因によって治療方法も変わります。ここでは、それぞれのケースに適した治療法をご紹介します。

<薬物療法>

尿路感染症が原因の場合、抗生物質が処方されることがあります。また、痛みや炎症を和らげる薬が併用されることもあり、猫の負担を軽減しながら治療を進めます。

 

<食事療法>

尿路結石が原因である場合、結石の種類に合わせた専用の療法食が推奨されます。結石の成分に応じた食事を続けることで、再発リスクを抑える効果が期待できます。

 

<外科的処置>

結石が大きく自然に排出することが難しい場合や、腫瘍が見つかった場合には、手術が必要になることもあります。手術によって物理的な障害を取り除き、血尿の改善を目指します。

 

<長期的な管理方法>

慢性的なストレスや尿路のトラブルが原因で血尿が繰り返される場合には、定期的な健康診断や生活環境の改善が大切です。

猫の状態に合わせて、獣医師から最適な治療プランや長期的な管理方法についてアドバイスいたします。

 

家庭でのケアと予防策

猫の血尿リスクを減らすためには、日常的なケアと予防が大切です。以下のポイントに注意して、ご家庭でのケアを取り入れましょう。

・水分摂取の促進
十分な水分補給は、尿路結石や感染症のリスクを軽減するためにとても重要です。
猫が水を飲みやすい環境を作るため、複数の場所に水皿を置く、猫専用の給水機を利用するなど工夫してみましょう。
また、ウェットフードを取り入れることで水分補給をサポートすることもできます。

・適切な食事管理
尿路の健康を保つキャットフードを選ぶことで、結石のリスクを軽減できます。療法食を検討する場合は必ず獣医師に相談のうえ、適切なものを選ぶようにしましょう。

・定期的な健康チェック
血尿などの異常が現れる前に気づけるように、定期的な健康診断をおすすめします。血液検査や尿検査によって早期に問題を発見でき、早めの治療が可能です。

・ストレス管理
猫の血尿は、ストレスが原因で起こることもあります。猫が安心して過ごせるように、生活環境を整えてあげましょう。例えば、キャットタワーや隠れ場所、静かなスペースを確保するなどが効果的です。

・排尿の様子を定期的に確認する
トイレの様子や尿の色・量を日頃から観察することで、異常があれば早めに気づくことができます。

 

まとめ

猫の血尿は、飼い主様にとってとても心配な症状ですが、適切なケアと早期対応によって、多くの場合で改善が期待できます。

日常的に水分補給や食事管理、ストレス対策などのケアを心がけ、猫の健康を見守りましょう。また、健康状態に少しでも異常が見られた場合には、自宅で様子を見ず、早めに獣医師に相談して診断を受けることが大切です。

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