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2025.03.13  愛犬の関節症ケア|獣医師が教える在宅介護のコツと対策

犬の関節症は、年を重ねたり体重が増えたりすることで起こりやすく、痛みや動きにくさの原因となります。そのため日常の工夫で症状を和らげ、毎日を快適に過ごせるようにサポートしていくことが大切です。また無理のない散歩や体重管理、サプリメントの活用といった適切な関節症ケアを行うことで、症状の進行を遅らせることが期待できます。

今回は、愛犬がストレスなく暮らせるように、日常に取り入れやすいケア方法と在宅介護のポイントをご紹介します。

■目次
1.変形性関節症の基礎知識
2.症状の見分け方と早期発見のポイント
3.獣医師による診断と治療法
4.ご家庭でのケア方法
5.在宅介護のポイント|関節に優しい環境と食事の管理
6.よくある質問(Q&A)
7.まとめ

 

変形性関節症の基礎知識

変形性関節症とは、関節のクッションの役割をしている軟骨がすり減ったり傷ついたりすることで、それを補おうと骨が増殖し、関節の動きが悪くなったり痛みが出たりする病気です。進行すると、関節が正常に働かなくなります

中高齢以上(7歳以上)の大型犬に多い病気で、特にレトリバー系によくみられますが、小型犬での発症例も少なくありません。

 

症状の見分け方と早期発見のポイント

変形性関節症の症状は、初期段階では気づきにくいこともあります。以下のような変化が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

歩き始めがぎこちない(寝起きや座っている状態から歩き出すときに違和感がある)
走ったりジャンプしたりすることが減った(以前よりも活発に動かなくなった)
階段や段差を嫌がる(登るのをためらったり、降りるのが怖そうに見える)
筋肉が痩せてきた(特に後ろ足の筋肉が落ちてきたと感じる)
歩幅が狭く、頭を上下に振るような歩き方をする
関節からギシギシと音がする(軋轢音)

このような様子が見られたら、いつから症状が続いているか、ほかに食欲や元気の低下はないかを確認し、記録をつけておくと診察時に役立ちます。

 

獣医師による診断と治療法

変形性関節症の診断では、まず愛犬の全身状態を確認し、関節だけでなく体全体の健康状態を把握します。具体的には、歩き方や姿勢、運動の持続力、筋肉の状態などを観察し、異常がないかを確認します。

次に、触診を行い、痛みがある部位や関節の可動域、腫れや熱感の有無をチェックします。この段階で、どの関節が影響を受けているのか、どの程度の痛みや制限があるのかを特定していきます。

さらに、より詳しく関節の状態を確認するためにレントゲン検査を行います。レントゲンを撮ることで、関節の変形や軟骨のすり減り具合、骨の異常など、外からは分からない問題を明らかにすることができます。また、必要に応じて超音波検査を行い、関節包(関節を包んでいる膜)の腫れや関節液の貯留の有無を詳しく調べることもあります。

こうした診断を通じて、関節症の進行度や痛みの程度を正確に評価し、最適な治療方針を決定します。

治療法は大きく3つのアプローチに分けられます。

 

<薬物療法>

消炎鎮痛剤や関節保護のためのサプリメント(グルコサミンやオメガ脂肪酸など)を使用し、痛みを和らげます。長期間にわたる管理が必要なため、症状が落ち着いているときは休薬したり、サプリメントを活用することも選択肢のひとつです。

 

<理学療法>

関節の動きを維持し、筋肉の硬直を防ぐための運動療法を行います。方法や頻度は症状によって異なるため、どのような運動が適切かは獣医師と相談して決めましょう。

 

<生活習慣の改善>

適切な体重管理運動管理は、変形性関節症のケアにおいて最も重要です。肥満は関節に大きな負担をかけるため、適正体重を維持することを心がけましょう。

 

変形性関節症は進行性の病気ですが、早期発見・早期治療によって症状を軽減させたり、遅らせたりすることが期待できます。愛犬の歩き方や動きに違和感を覚えたら、できるだけ早めに獣医師に相談しましょう。

 

ご家庭でのケア方法

日常の動作で関節にかかる負担を減らし、無理なく動けるように工夫しましょう。

・滑り止めマットやスロープを活用する
フローリングは滑りやすく、関節に負担をかける原因になります。滑り止めマットを敷くことで踏ん張りがききやすくなり、転倒や関節への負担を軽減できます。また、階段やソファの昇り降りにはスロープを設置するなどして、無理なジャンプを防ぎましょう。

・散歩の時間とペースを調整する
長時間の散歩は関節に負担をかけるため、1回10~15分程度の短い散歩を1日2~3回に分けて行うのが理想的です。歩くペースは愛犬の状態に合わせ、無理なくゆっくり進めましょう。

・運動後は十分に休息を取る
関節への負担を軽減するために、運動の後は30分~1時間ほど安静に過ごせる時間を確保しましょう。疲れすぎを防ぎ、痛みの悪化を防ぐためにも、運動と休息のバランスを意識することが大切です。

 

在宅介護のポイント|関節に優しい環境と食事の管理

変形関節症の愛犬が快適に暮らせるように、日常生活の環境を整え、適切な食事管理を行うことが大切です。痛みや負担を減らし、QOL(生活の質)の向上をサポートしましょう。

 

<関節にやさしい寝床づくりとおすすめの介護用品>

関節に負担をかけないためには、寝る場所の環境を整えることが重要です。

・低反発マットや関節サポートクッション
硬すぎる床や柔らかすぎるベッドは関節に負担がかかるため、低反発マットや関節を支えるクッションを使って適度なクッション性を確保しましょう。

・床ずれ防止マット
寝ている時間が長くなってきた犬には、床ずれを防ぐためのマットが役立ちます。特に変形性関節症の犬は同じ体勢で過ごすことが増えるため、圧力が分散されるマットを選ぶと安心です。

・高さ調整可能な食器台
首や前足に負担がかからないよう、高さを調整できる食器台を使用するのもおすすめです。食事や水を飲む際の姿勢が楽になり、関節への負担を軽減できます。

 

<関節ケアのための食事管理>

関節の健康を維持するためには、体重管理と関節をサポートする栄養素が重要です。

・適正体重の維持
体重が増えると関節への負担が大きくなるため、適正体重をキープすることが何よりも大切です。食事量のコントロールと、低カロリー・高タンパクのフードを選ぶことで、無理なく体重管理を行いましょう。

・関節に良い栄養素を含むフードを選ぶ
関節の健康をサポートする成分(グルコサミン・コンドロイチン・オメガ3脂肪酸など)が含まれた関節サポートフードサプリメントを取り入れるのも効果的です。

 

よくある質問(Q&A)

Q:変形性関節症は治りますか?
A:残念ながら完治する病気ではありませんが、早期に治療を開始し、適切なケアと管理を続けることで、進行を遅らせたり痛みをコントロールしたりすることが可能です。

Q:何歳から気をつけるべきですか?
A:7歳頃から発症しやすくなりますが、若いうちから適正体重の維持や関節にやさしい生活習慣を心がけ、予防的なケアを始めることが望ましいです。

 

まとめ

変形性関節症は進行性の疾患ですが、適切なケアを行うことで愛犬の生活の質(QOL)を向上させることが可能です。関節に負担をかけない環境づくり、無理のない運動、体重管理など、できることから少しずつ取り入れてみましょう。
また、この疾患は早期発見・早期治療が重要です。愛犬の歩き方や動作に変化を感じたら、早めに獣医師に相談することをおすすめします。

 

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