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2025.01.28  愛犬愛猫の体重が減っている?見逃せない病気のサインと考えられる原因

犬や猫の体重は健康状態を把握するうえで非常に重要な指標のひとつです。体重の変化は、さまざまな健康問題の初期サインとなることがあるため、日々の観察と定期的な記録が欠かせません。特に体重減少は、病気の兆候であることも多く、早期に発見して対応することが大切です。

今回は、犬や猫の体重減少について、その原因や対応方法を獣医師の視点から詳しく解説していきます。

■目次
1.体重減少のサイン
2.考えられる主な原因
3.要注意!こんな症状がある場合
4.診断・検査について
5.対処法と治療
6.自宅でのケアと観察
7.予防と定期健診の重要性
8.まとめ

 

体重減少のサイン

体重減少は、外見の変化や触れることで確認できます。健康な体型では、肋骨が触れても見えない程度で、腹部にくびれがあるのが理想的です。

肋骨や腰骨が浮き出ている場合は痩せすぎと言える場合が多く、体重減少が進んでいることがあります。また、体重減少と筋肉量減少は異なる現象で、特に高齢の犬や猫では筋肉量の減少(サルコペニア)に注意が必要です。体重だけでなく筋肉の状態にも注意を払いましょう。

さらに、体重減少に伴い、被毛がパサつく毛づやが悪くなるといった見た目の変化が伴う場合もあります。

 

考えられる主な原因

体重減少を引き起こす原因には以下のようなものがあります。

 

<代謝や消化吸収能力の低下>

高齢になると代謝が低下し、消化吸収能力も衰えることがあります。

 

<消化器系の疾患>

炎症性腸疾患や膵炎などの疾患が体重減少の原因となる場合があります。

 

<内分泌系の病気>

猫の甲状腺機能亢進症や犬猫の糖尿病など、ホルモンバランスの異常が影響します。

 

<がん(悪性腫瘍)>

体重減少はがん(悪性腫瘍)の重要なサインであることもあります。

 

これらの原因は早期に発見し対処することで、進行を抑えられることもあります。

 

要注意!こんな症状がある場合

以下の症状が体重減少とともに見られる場合は、特に注意が必要です。

食欲不振:食事量が減っている。
多飲多尿:水を飲む量やおしっこの量や回数が増えている。
活動量の急激な変化:急に元気がなくなったり、逆に異常に活発になったりする。

これらの症状が見られたら、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
さらに、食欲があるのに体重が減少する嘔吐や下痢が続く呼吸が苦しそうなどの症状がある場合は、緊急性の高いことが多いため、速やかに動物病院を受診しましょう。

犬と猫の嘔吐・下痢についてはこちらから

 

診断・検査について

体重減少の原因を特定するためには、総合的な診断が必要です。まず、飼い主様からの詳しい問診を行い、次に身体検査血液検査で全身の健康状態を確認します。さらに必要に応じて尿検査X線検査超音波検査などを行います。これらの検査結果をもとに、原因を特定し、適切な治療方針を立てます。

 

対処法と治療

治療法は体重減少の原因によって異なります。
また、治療期間も原因によって異なりますが、基本的には定期的な経過観察が必要となります。

 

<消化器系の問題>

食事療法や消化を助ける薬が処方されることがあります。

 

<内分泌系の疾患>

ホルモン補充療法などが必要になる場合があります。

 

<がんの治療>

外科手術や化学療法が選択肢となります。

 

いずれの場合も、適切な栄養補給が重要です。獣医師と相談のうえ、高カロリーの特別食栄養補助食品を利用し、必要なエネルギーを補いましょう。

 

自宅でのケアと観察

体重減少の進行を防ぐためには、自宅でのケアも大切です。

体重測定:小型犬や猫は週1回、大型犬は2週間に1回程度の測定が理想です。
食事記録:食事の量や時間を記録し、食欲や消化の状態を把握します。
快適な環境作り:ストレスを軽減し、犬猫がリラックスできる環境を整えましょう。

特に高齢の犬や猫の場合は、1回の食事量を減らし、1日の回数を増やすことで、消化や吸収を助けることが期待できます。

また普段食べているフードが、年齢、性別、品種、持病にあっているものか定期的に確認しましょう。診察の際にどの銘柄のフードを与えているか伝えられるように、パッケージの写真などを撮影しておくと良いです。

 

予防と定期健診の重要性

体重減少を含む健康問題の早期発見には、定期的な健康診断が大きな役割を果たします。若齢から成犬・成猫では年1回、7歳以上の高齢の犬や猫は半年に1回の健康診断を推奨します。体重記録は、長期的な健康状態を把握する上で非常に有用です。また、早期発見は治療の選択肢を広げ、予後を改善する可能性が高くなります。

 

まとめ

体重減少は犬や猫にとって見逃せない健康のサインです。定期的な体重測定や健康診断を通じて、愛犬愛猫の変化にいち早く気づくことが大切です。

異変を感じたら、自己判断は避け、早めに動物病院に相談してください。適切な診断と治療を受けることで、健康で穏やかな日々をサポートしましょう。

 

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