2026.01.22 最近、水の減りが早い?犬・猫の「多飲多尿」セルフチェックと受診の目安
犬や猫がよく水を飲んでいる様子を見ると「しっかり水分をとれていて健康そう」と、つい安心してしまう方も多いのではないでしょうか。
実際には、水をたくさん飲む・おしっこの量が増えるといった変化が、体の異変を知らせるサインであるケースも少なくありません。特に、これからの冬から春への季節の変わり目には「なんとなく水の減りが早くなった気がする」といったご相談が増えやすい傾向があります。
今回は、ご家庭でできるセルフチェックの方法と受診を考える目安について、詳しく解説します。

■目次
1.犬・猫が1日に飲む「適正な水の量」の目安とは?
2.「おしっこの量」は重さで測るのがいちばん正確
3.なぜ「水をたくさん飲む」「おしっこが多い」と病気が疑われるのか
4.病院へ行くべきか迷ったときの判断基準
5.まとめ|“なんとなく”ではなく“数字”で安心できる健康管理を
犬・猫が1日に飲む「適正な水の量」の目安とは?
犬・猫ともに、1日に飲む水の量の目安は次のとおりです。
<1日の飲水量の目安>
体重1kgあたり 約50cc/日
計算例)
・体重5kgの場合 → 約250cc/日
・体重10kgの場合 → 約500cc/日
この数値は「多すぎるかどうか」を判断するための基準値として役立ちます。
<「よく飲んでいる」だけでは判断が難しい理由>
「お皿の水がすぐ空になる」「何度も水を飲みに行く」といった印象だけでは、実際にどれくらい飲んでいるかを正確に把握するのは難しいものです。
そこでおすすめなのが、実際の飲水量を数字で把握することです。
▼飲水量を測るポイント
①朝に入れた水の量を計量カップなどで測る
②翌日までにどれくらい減ったかを確認する
③複数の水皿がある場合は、すべて合算する
このように測ってみて、1日の飲水量の目安を大きく超えている状態が続く場合は、注意が必要です。
なお、運動量や食事内容(ドライフードかウェットフードか)、季節などによって多少の変動はあります。ただし「明らかに増えている」「以前より多い状態が続いている」場合は、一度立ち止まって考えてみましょう。
「おしっこの量」は重さで測るのがいちばん正確
おしっこの量は「トイレに行く回数」や「シーツの濡れ具合」だけでは判断が難しいこともあります。そこで役立つのが、重さで測る方法です。
▼自宅でできる簡単な測定方法
①新品のペットシーツの重さを測る
②使用後のペットシーツの重さを測る
③その差分が尿量(1g ≒ 1cc)になります
<1日の尿量の目安>
・犬:体重 × 約48cc/日
・猫:体重 × 約24cc/日
計算例)
・5kgの犬 → 約240cc/日
・4kgの猫 → 約96cc/日
これを数日間記録してみることで、その子なりの「普段の基準値」が見えてきます。回数だけでなく、量で見ることが、多飲多尿に気づく大切なポイントです。
なぜ「水をたくさん飲む」「おしっこが多い」と病気が疑われるのか
体の中では、腎臓やホルモンの働きによって、体内の水分量が一定に保たれるように調整されています。この仕組みがうまく働いていると、必要な分だけ水を飲み、余分な水分だけをおしっことして排出することができます。
しかし、何らかの理由でこの調整がうまくいかなくなると、体が水分を保てずにおしっこが増え、その分を補おうとして水をたくさん飲むという状態が起こります。これが「多飲多尿」です。
<多飲多尿の背景として考えられる代表的なもの>
・腎臓のトラブル
腎臓は、体に必要な水分を再吸収する役割を担っています。その機能が低下すると水分をうまく保てなくなり「薄いおしっこがたくさん出る → 水を多く飲む」という変化が起こります。
・ホルモン疾患(糖尿病・副腎の病気など)
ホルモンは、水分や糖分、電解質のバランス調整に深く関わっています。そのため、ホルモンの働きに異常が起こると、多飲多尿が見られることがあります。
たとえば糖尿病では、尿に糖が漏れ出ることで水分も一緒に排出されやすくなり、尿量増加と強い喉の渇きが起こります。
また、糖尿病以外にも副腎をはじめとするホルモンの異常が、多飲多尿の背景にあることがあります。代表的な疾患には、次のようなものがあります。
・クッシング症候群(犬)
・甲状腺機能亢進症(猫)
・CONN症候群(猫)
・アジソン病(副腎皮質機能低下症)
・上皮小体機能亢進症
犬・猫の糖尿病についてはこちらから
猫のホルモン疾患(甲状腺機能亢進症)についてはこちらから
犬のホルモン疾患(クッシング症候群)についてはこちらから
・感染症や炎症
体のどこかで感染や炎症が起こると、体調の変化に伴って水分バランスが乱れることがあります。発熱や臓器への負担が影響し、結果として飲水量や尿量が増えるケースもあります。
特に子宮蓄膿症では、細菌感染による全身への影響から、多飲多尿が目立つことがあります。
・お薬の影響
使用しているお薬の中には、尿量を増やしたり、喉の渇きを感じやすくしたりするものがあります。治療の一環であっても「いつもと違う」と感じた変化があれば相談することが大切です。
一見すると「水をしっかり飲めていて元気そう」に見える場合でも、体が無理をしてバランスを保とうとしているケースもあります。
多飲多尿の背景にある病気の中には、早期に気づくことで進行を抑えられるものも多くあります。だからこそ「なんとなく増えた気がする」という段階でも、量の変化に目を向けることが大切です。
病院へ行くべきか迷ったときの判断基準
愛犬・愛猫の水を飲む量やおしっこの変化に気づいたとき、多くの飼い主様が「このくらいで受診していいのかな」「もう少し様子を見たほうがいい?」と迷われるのではないかと思います。
受診を考えるひとつの目安として、次のようなポイントを参考にしてみてください。
・飲水量が、基準値を明らかに超えている
・尿量が多い状態が数日以上続いている
・急に水を飲む量・おしっこが増えた
・体重減少、食欲の変化、元気の低下を伴う
・シニア期に入っている、または持病がある
一方で「1日だけ多かった」「一時的に増えた気がする」という場合は、少し様子を見てもよいこともあります。
ただし、その“いつもと違う感じ”が続いているかどうかは、できれば数字で確認しておくと安心です。水の量や尿量を記録しておくことで、受診の必要性を判断しやすくなるだけでなく、実際に来院された際にも、獣医師へ状況をより具体的に共有することができます。
「受診するほどではないかもしれない」と感じる段階でも、迷った時点でぜひ一度ご相談いただければと思います。
まとめ|“なんとなく”ではなく“数字”で安心できる健康管理を
水を飲む量やおしっこの量は、犬や猫の体調変化に気づくための大切なサインです。数字で把握することで「気のせいかも」と見過ごされがちな変化にも、早めに目を向けることができます。
アルファ動物病院では、診察や必要な検査を通して体の状態を丁寧に確認し、生活環境や年齢、これまでの経過も踏まえながら、飼い主様と一緒に状況を整理し、その子にとって今どんな対応が必要かを考えていく診療を大切にしています。
「少し気になる」「測ってみたら基準を超えていた」など、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
🔽この記事が参考になった方は、ぜひ⭐️ボタンで教えてください🔽
■関連する記事はこちらから
・愛犬愛猫の体重が減っている?見逃せない病気のサインと考えられる原因
・犬と猫の下痢、嘔吐について|下痢や嘔吐が止まらない!どうしたらいい?
■当院は【予約優先制】です(※ご予約はこちらから)
■当院の診療案内はこちら
葛飾区高砂・柴又エリアにある【アルファ動物病院】
TEL:03-3609-6304
診療時間:10:00~12:00|15:00~19:00 ※受付18:30まで
休診日:日曜・祝日
住所:東京都葛飾区高砂8-30-12
駐車場:専用駐車場1台あり(病院の1階が駐車場です)
最寄駅:京成高砂駅(京成線)から徒歩5分
駅改札を出て、左の階段を下り、踏切のある道路を(バスが通っています)、踏切を背にしてまっすぐ歩きます。ひとつめの信号(角に伊勢屋さんというおにぎりやさんがあります)をとおりすぎたらすぐ、道路の左側にあります。1階が駐車場、2階が病院になっています。
京成金町線柴又駅からも徒歩10分です。
