2025.02.17 愛犬・愛猫のそのしこり、良性?悪性?|獣医師が教える腫瘍の見分け方と対処法
愛犬や愛猫の体にしこりを見つけると、悪性腫瘍(がん)ではないかと不安に感じることもあるかと思います。しこりが良性であれば、基本的に大きな問題にはならないことがほとんどですが、悪性の場合は早急な対応が必要になります。
今回は、犬や猫のしこりについての基本情報、良性と悪性の違い、症状のチェックポイント、受診のタイミング、治療法について詳しく解説します。
■目次
1.犬や猫の腫瘍とは
2.こんな症状は要チェック!
3.受診のタイミング
4.治療方法の比較
5.よくある疑問Q&A
6.まとめ
犬や猫の腫瘍とは
犬や猫の腫瘍は、加齢とともに発症率が高まる傾向があり、特に7歳以上の高齢犬・高齢猫で発生しやすくなります。犬種や猫種によっても発症率に違いがあり、ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、ミニチュア・シュナウザーなどは、腫瘍のリスクが高いとされています。
腫瘍には「良性」と「悪性」があり、それぞれ性質が異なります。
<良性腫瘍>
成長が遅く、周囲の組織に広がらず、転移のリスクも低い。
例)脂肪腫
<悪性腫瘍(がん)>
急速に成長し、周囲の組織に広がりやすく、転移するリスクが高い
例)リンパ腫、骨肉腫、乳腺腫瘍
こんな症状は要チェック!
しこりができる部位によって、注意すべき症状が異なります。以下の変化が見られた場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
<皮膚にできるしこり>
・外見が変わる
・皮膚の色が変わる
・かゆみや痛みがある
・出血する
<口の中にできるしこり>
・食事を嫌がる
・よだれの量が増える
・口臭が強くなる
<内臓にできるしこり>
・お腹が膨らむ
・食欲が落ちる
・体重が減る
また、元気がなくなる、歩き方が不安定になる、しこりを痛がるなどの行動の変化も、注意が必要です。
受診のタイミング
しこりが見つかった場合、以下のような変化があるときは、早急な受診をおすすめします。
・急速に大きくなる:短期間で明らかにしこりが大きくなる
・痛みがある:しこりを触ると痛がる
・出血する:しこりから出血がある
・行動に変化がある:元気や食欲がなくなる、動きが鈍くなる
これらの症状が見られた場合は、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。
治療方法の比較
しこりの治療方法としては、手術、投薬(化学療法)、放射線治療の3つが一般的です。腫瘍の種類や進行度によって適切な治療法が異なるため、主治医とよく相談しましょう。
<手術>
腫瘍を直接取り除くことで、再発のリスクを軽減できます。一方で痛みや麻酔などといった手術特有のリスクを伴い、手術費用も高額です。
<投薬(化学療法)>
手術を行わずに治療が可能で、体への負担が比較的少ない治療です。しかしながら効果が限定的であり、悪性腫瘍では根本的な治療にならないことがあります。
<放射線治療>
腫瘍を縮小または消失させる効果が期待できます。ただし、専用の設備が必要なため、実施できる施設が限られています。また、高額な費用と、副作用のリスクを伴います。
よくある質問Q&A
Q:しこりの硬さによって違いはありますか?
A: 一般的に硬いしこりは悪性腫瘍の疑いがあるとされていますが、例外もあります。また、柔らかいしこりは良性腫瘍である場合が多いとはいえ、自己判断は禁物です。しこりが気になる場合は、早めに獣医師に相談してください。
Q:イボが急に大きくなった場合、様子を見ても大丈夫ですか?
A:イボが急に大きくなる場合は、放置せずに早めに受診することをおすすめします。悪性腫瘍の場合もあるため、専門的な診断を受けることが重要です。
Q:手術後の傷口にしこりができることはありますか?
A:手術後に新たなしこりができることもあります。その場合は、再発や別の腫瘍の疑いもあるため、すぐに動物病院で診察を受けることを推奨します。定期的な健診を受け、しこりの有無を確認することも大切です。
まとめ
愛犬や愛猫にしこりを見つけた際は、良性か悪性かを早めに確認し、適切な対応をとることが重要です。自己判断で放置するのは避け、気になる場合は早めに獣医師に相談しましょう。また、定期的な健康診断を受けることで、腫瘍の早期発見につながります。しこりが見つかった場合でも、早期対応により治療の選択肢が広がるため、日頃から愛犬・愛猫の体の変化をチェックすることが大切です。
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