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2024.12.02  【獣医師監修】愛犬が足を引きずる?|考えられる原因と対処法

愛犬が足を引きずる姿を見かけたら、飼い主様としてはとても心配ですよね。これは単なるケガのサインにとどまらず、深刻な病気の初期症状である可能性も否定できません。
犬は痛みや不調を言葉で訴えることができないため、日頃から行動やしぐさを観察してあげることが、健康を守るためには大切です。

特に、犬の年齢や品種によってなりやすい病気が異なるため、愛犬にどのようなリスクがあるのかをあらかじめ知っておくことは、予防や早期発見につながります。

今回は、犬が足を引きずる際に考えられる原因、その症状の見分け方、そして早めに対応するためのポイントについて解説します。

■目次
1.考えられる主な原因
2.症状の見分け方
3.要注意!こんな時はすぐに動物病院へ
4.診断・検査について
5.治療法と対策
6.予防と日常のケア
7.まとめ

 

考えられる主な原因

犬が足を引きずる理由にはさまざまな可能性があります。ここでは、代表的な原因をいくつかご紹介します。

<整形外科的な原因>

・関節疾患
関節疾患として股関節形成不全膝蓋骨脱臼が挙げられます。
特に、大型犬では股関節形成不全、小型犬ではトイプードルやチワワに多い膝蓋骨脱臼が一般的です。これらの疾患は、遺伝的な要因に加え、成長期の栄養管理や加齢などが影響します。

・靭帯損傷
大型犬や活発な犬種では前十字靭帯の損傷が発生しやすく、ジャンプや急停止などが原因となることがあります。この損傷は、すべての年齢層で起こりうるため、子犬からシニア犬まで注意が必要です。放置すると関節炎に進行するリスクがあります。

 

<神経疾患>

・椎間板ヘルニア
ダックスフンドやフレンチブルドッグ、ウェルシュコーギー、ビーグルといった犬種は、遺伝的に椎間板ヘルニアを発症しやすいとされています。

この疾患では、椎間板が飛び出し神経を圧迫することで、足を引きずる原因となります。初期症状として歩行異常が見られることが多いです。

 

<高齢犬に多い疾患>

・変形性関節症
加齢に伴って関節の軟骨がすり減ることで発症し、歩行時に痛みを伴う慢性的な症状を引き起こします。

 

<事故やケガによる急性の症状>

・骨折や捻挫
散歩中の転倒や高い場所からの飛び降りが引き金となることが多く、このような場合は緊急に動物病院で診察を受ける必要があります。

 

症状の見分け方

愛犬が足を引きずる場合、以下のようなサインが見られることがあります。

<歩き方の異常>

・足を引きずる、またはスキップするように歩く
・歩幅が狭くなり、歩くスピードが遅くなる
・フラフラと不安定に歩く、または真っ直ぐ歩けない

 

<痛みのサイン>

・足に触ると嫌がる、または抱っこを拒否する
・散歩に行きたがらない、途中で座り込む
・食欲が落ちる、元気がなくなる

 

<姿勢や行動の変化>

・足をかばい、片方に体重をかける
・座る、横になる時間が増える
・遊ばなくなるなど、活動性が低下する

 

<症状が長引く・再発する場合>

・症状が数日以上続いている
・一度良くなったように見えても再発している

 

要注意!こんな時はすぐに動物病院へ

愛犬が足を引きずる症状が見られた場合、次のような状態がある場合には緊急性が高い可能性があります。速やかに動物病院を受診し、診察を受けてください。

・足が完全に動かない
急に足を使わなくなり、地面に着けようとしない場合は、骨折、重度の靭帯損傷、または神経障害が原因と考えられます。

・強い痛みを示している
足に触ろうとすると激しく抵抗する、鳴き声を上げるなど、明らかに痛みを感じている場合は注意が必要です。

急な歩行異常が見られる
散歩中や運動後に突然足を引きずるようになった場合、外傷、靭帯損傷、または捻挫の可能性があります。

・その他の症状が伴う
足の異常だけでなく、咳、息切れ、食欲不振、嘔吐などの症状が同時に見られる場合は、全身性疾患や神経障害が原因の可能性があります。

「少し様子を見よう」は禁物です。症状を放置してしまうと、状態が悪化する可能性があります。特に、整形外科や神経の問題は早期の対応が必要で、治療が遅れると神経に不可逆的なダメージが加わり、後遺症が残るリスクが高まります。

 

診断・検査について

動物病院では、愛犬の症状を正確に把握し、適切な治療を行うために、次のような手順で診断を進めます。

最初に問診を行います。飼い主様から「いつ頃から症状が見られるようになったのか」や「どんな場面で症状が悪化したのか」など、普段の生活の中での様子を詳しくお聞きします。

次に、視診と触診を行います。愛犬の歩き方や足の動きを観察し、どの部分に不調があるのかを確認します。また、身体に触れることで、痛みや腫れがある部位を丁寧に特定していきます。

さらに、必要に応じて以下のような検査を実施します。

神経学的検査
刺激に対する反応や足先の感覚を確認し、神経のどこに異常があるかを探ります。

X線検査
骨折や関節の異常を調べるための基本的な検査です。骨の状態を詳しく確認します。

血液検査
体内で炎症や感染が起きていないかを調べるために行います。

MRIやCTスキャン
神経や椎間板の問題が疑われる場合、さらに詳しく調べるための画像診断を行います。これにより、症状の原因をより正確に把握することができます。

 

治療法と対策

原因に応じて、さまざまな治療法が選択されます。

<投薬治療>

感染症や関節炎、軽度の椎間板ヘルニアなどの場合は、内科的な治療が行われます。抗生剤や、痛みや炎症を抑えるための抗炎症剤・鎮痛剤が処方されることが一般的です。

また、関節疾患が原因の場合には、軟骨を保護するためのサプリメントが追加されることもあります。

 

<理学療法(リハビリ)>

水中ウォーキングやマッサージといった理学療法が取り入れられることもあります。これらは、筋力の維持や関節の可動域を改善する効果があり、内科治療や外科手術と併用して行うことで治療効果を高めます。

リハビリは犬の体に優しい方法であり、飼い主様と一緒に行える内容も多いので、治療の一環として取り入れられることがよくあります。

 

<手術が必要なケース>

骨折、股関節形成不全、靭帯損傷、椎間板ヘルニアなど、内科治療や理学療法だけでは根本的な解決とならない場合、外科手術が選択されることがあります。

 

予防と日常のケア

愛犬が足を引きずるような症状を予防し、元気に健康を維持するためには日々のケアが欠かせません。以下のポイントを参考に、日常生活で意識してみましょう。

<体重管理>

適切な体重を維持することは、愛犬の健康を守るうえで非常に重要です。肥満は関節や靭帯に過剰な負担をかけ、関節疾患や靭帯損傷のリスクを高めます。そのため、栄養バランスの取れた食事を与えることが大切です。

また、間食やおやつの量はカロリーに注意し、与えすぎないように気をつけましょう。

さらに、犬種や年齢に応じた適度な運動を取り入れることで、筋力を維持し、健康をサポートできます。ただし、過剰な運動は逆効果になる場合があるため、愛犬に無理をさせない範囲で行うことがポイントです。

 

<予防のための環境整備>

日常生活の環境を整えることも事故やケガを防ぐために重要です。
たとえば、フローリングなどの滑りやすい床材は、犬の関節や靭帯に負担をかける原因になります。滑り止めマットやカーペットを敷くことで、足元の安定性を高めてあげましょう。

また、小型犬や高齢犬の場合は階段や段差でのケガのリスクが高いため、ゲートを設置して階段の昇り降りを制限することも効果的です。

 

<ペット保険の活用>

整形外科疾患の治療には、長期間にわたり高額な治療費がかかることがあります。そのため、ペット保険に加入しておくと、予想外の診療費の負担を軽減できて安心です。ただし、加入の際には保険の保障内容をしっかり確認することが大切です。

一部の保険では、整形外科疾患や手術費用が対象外となる場合もありますので注意しましょう。

また、保険は若いうちから加入するのがおすすめです。年齢が上がるにつれて保険料が高くなるだけでなく、一定の年齢を超えた場合や既往歴がある場合には加入が難しくなるケースもあります。

 

<定期的な健康診断>

健康診断は、愛犬の目に見えない症状を早期に発見するためにとても役立ちます。若い犬の場合は基本的な検査を受けるだけで十分なことが多いですが、高齢犬や特定の犬種では、関節や神経系の詳しい検査を追加することも検討してみてください。

診断の頻度は、少なくとも年に1回が目安です。特に7歳以上の高齢犬では、半年に1回のペースで受診するのが理想的です。
定期的に健康診断を行うことで症状を早期に見つけて治療に繋げることができ、愛犬の健康をしっかりと守ることができます。

健康診断についてはこちらから

 

まとめ

愛犬が足を引きずる症状は、重大な疾患のサインである可能性があります。そのため、日頃から体重管理や生活環境の整備を心がけることが大切です。

また、定期的な健康診断を受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。さらに、ペット保険を活用すれば、治療費の負担を軽減し、治療に専念できる環境を整えることができます。

もし愛犬に異変を感じた場合は、迷わず動物病院に相談してください。飼い主様の迅速な対応が、愛犬の健康を守り、快適な生活をサポートする第一歩となります。

 

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最寄駅:京成高砂駅(京成線)から徒歩5分
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