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2024.11.26  犬や猫の体にイボやしこりが見つかったら|良性・悪性を見分ける方法と早期発見の重要性

愛犬や愛猫の体に突然イボやしこりを見つけると、不安に感じることがあるかもしれません。ただし、これらがすべて悪性腫瘍というわけではなく、犬や猫の場合、良性の腫瘍や一時的な皮膚の変化である場合も少なくありません。

しかし、見た目だけでイボやしこりの性質を判断するのは難しいため、見つけた際は必ず獣医師に診てもらうことが大切です。

今回は、犬や猫に見られるイボやしこりの種類や症状、治療法について解説します。

■目次
1.イボやしこりの種類と特徴
2.こんな症状が見られたら要注意!
3.発見時の対処法
4.診断と検査について
5.治療方法と選択肢
6.予防と早期発見のために
7.まとめ

 

イボやしこりの種類と特徴

犬や猫に見られるイボやしこりには、良性のものと悪性のものがあります。

 

<良性のイボやしこり>

脂肪腫
皮下組織にできる柔らかいしこりで、触ると動くのが特徴です。多くの場合、痛みを伴わず、経過観察になることが多いです。

乳頭腫(いわゆるイボ)
表面がカリフラワーのようにデコボコしていることがあります。良性である場合が多いですが、増えるようであれば獣医師に相談しましょう。

 

<悪性の可能性があるイボやしこり>

肥満細胞腫
犬に多く見られる腫瘍で、急速に大きくなる場合があります。炎症や赤みを伴うこともあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)
皮膚や口腔内にできることがあり、黒っぽい色が特徴です。進行が早い場合もあるため注意が必要です。

 

<良性と悪性の見た目や触感の違い>

見た目や触った感触に基づく特徴として、以下のような違いがあります。

・良性の特徴
表面が滑らかで柔らかいことが多く、周囲の皮膚との境界がはっきりしています。また、触ると動く場合もあり、成長も比較的ゆっくりです。

・悪性の特徴
表面がデコボコして硬く、周囲の皮膚との境目が分かりにくいのが特徴です。短期間で急速に大きくなる場合や、潰瘍や出血が見られることもあります。

 

こんな症状が見られたら要注意!

以下のような特徴がある場合は、悪性腫瘍の可能性を考慮し、できるだけ早く獣医師に相談することが大切です。

急に大きくなる
色が変わる(特に黒や赤、紫色に変化)
出血やただれがある
痛がったり痒がったりする
周りの皮膚が腫れている

また、これらの症状に加えて、食欲が落ちている元気がないなどの変化がある場合も、体調全体に何か問題が起きている可能性があります。

 

発見時の対処法

愛犬や愛猫の体にイボやしこりを見つけた場合、次の手順で対応してみてください。

1.写真を撮り、大きさを測定して記録する
見た目の変化を把握しやすくするために、写真を撮影しましょう。同時に、大きさを測定して記録しておくと、診察時に役立ちます。

2.発見した日付と場所をメモする
いつ、どこにできたかを正確に記録しておくと、経過観察や診断に役立ちます。

3.周囲の毛を刈って観察しやすくする
イボやしこりの様子を確認しやすくするために、周囲の毛を軽く刈るとよいでしょう。ただし、これ以上の処置(切除や触りすぎ)は行わないでください。

自己判断での処置は症状の悪化を招き、獣医師による診断を難しくしてしまう可能性があります。特にイボやしこりを押したり切ったりするのは避けましょう。

 

診断と検査について

イボやしこりを見つけた場合、まず視診と触診が行われます。全身のリンパ節に腫れがないかや、ほかの異常がないかも確認されます。
そのうえで、必要に応じて次のような検査が行われます。

細胞診:腫瘤に細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
生検:腫瘤の一部を切り取り、病理検査で詳しく調べます。細胞診よりも正確な診断が可能です。
血液検査:血液を調べることで、全身の健康状態や炎症の有無、臓器の働きに異常がないかを確認します。
レントゲン検査やCT検査:腫瘍が体内のほかの場所に転移していないか、または周囲の組織や臓器への影響がないかを調べます。

これらの検査結果を総合的に判断し、腫瘍の種類や良性・悪性の判断が行われます。診断が確定すれば、それに応じた治療方針が決定されます。

 

治療方法と選択肢

犬や猫にできたイボやしこりは、その性質や状態によって治療方法が異なります。
特に悪性の可能性がある場合は早急な対応が必要ですが、良性であれば経過観察のみで済むこともあります。以下に、主な治療法について説明します。

<経過観察>

イボやしこりが小さく、悪性の兆候がない場合には、治療をせずに経過を観察することがあります。定期的にしこりの大きさや状態をチェックし、異変がないか注意を払います。

 

<外科的切除>

しこりが大きい場合や悪性が疑われる場合には、外科手術で切除するのが一般的です。この方法では、切除した組織を病理検査に回し、しこりが良性か悪性かを確認します。

手術によってしこりを完全に取り除ける可能性が高い一方で、全身麻酔を使用するため、犬や猫への身体的な負担が大きくなることがあります。

 

<放射線療法>

悪性腫瘍の治療に用いられる方法です。手術が難しい場所にできた腫瘍や、手術後の再発リスクを減らすために使われます。

ただし、特殊な設備が必要で治療費が高額になるほか、利用できる施設が限られるため、獣医師と十分に相談して決定する必要があります。

 

<化学療法(抗がん剤)>

化学療法は、主に悪性腫瘍が確認された場合に使用される治療法です。抗がん剤を用いて腫瘍細胞を攻撃し、増殖を抑えることを目的とします。
この治療法は、単独で行う場合もありますが、手術や放射線療法と組み合わせることで、より高い治療効果が期待できます。

ただし、化学療法には吐き気や下痢、免疫力の低下などの副作用が伴うことがあります。

 

予防と早期発見のために

犬や猫の健康を守るためには、日常的なスキンチェックがとても重要です。早期発見により、適切な治療を素早く始められる可能性が高まります。以下のポイントを意識して観察を行いましょう。

・ブラッシングや撫でる際に全身を確認
普段のお手入れの中で、全身を軽く触ってみる習慣をつけましょう。特にしこりや皮膚の異常に気づきやすくなります。

・皮膚の変化や新しいしこりを観察
赤み、腫れ、変色、かさぶたのような異常がないかを注意深く確認してください。新しいしこりがないかも意識して触れてみましょう。

・毛が密生している部分も丁寧にチェック
特に脇の下やお腹、耳の後ろなど、普段見えにくい場所も忘れずに確認しましょう。

家庭でのチェックに加えて、年に1〜2回の健康診断を受けることで、獣医師による丁寧な全身チェックをしてもらえます。特に高齢の犬や猫は、年齢とともに腫瘍ができやすくなることがあるため、少し頻度を増やして診断を受けると安心です。

 

まとめ

イボやしこりが見つかっても、それが必ず深刻な問題というわけではありませんが、早めに見つけて適切に対応することが大切です。

普段から触れて確認する習慣を心がけ、定期的な健康診断を受けることで、愛犬や愛猫の健康を守ることができます。もし気になる変化を感じたときは、迷わず獣医師に相談しましょう。自己判断は避け、獣医師に診てもらうことが、愛犬や愛猫の健康を守るための確実な一歩です。

 

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