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2024.11.26  犬や猫の涙が多いのはなぜ?|結膜炎やアレルギーなど病気の可能性も

犬や猫の目から涙がたくさん出る場合、それは体調不良のサインかもしれません。このような症状をそのままにしておくと、目の健康に悪影響を及ぼすことがあるため、早めの対応が大切です。

特に春から夏にかけては、花粉やホコリなどのアレルギー物質が原因で涙の量が増えることがあります。

さらに、涙が過剰に出るのは、結膜炎や角膜炎といった目の病気の初期症状である可能性もあり、早期発見と適切な治療が非常に重要です。

今回は、犬や猫の涙が増える原因や考えられる病気、そして適切な治療法について詳しく解説します。

■目次
1.犬と猫で異なる涙の原因
2.涙が多くなる主な原因
3.こんな症状が出たら要注意
4.治療法と対策
5.日常的なケアと予防
6.定期検査の重要性
7.まとめ

 

犬と猫で異なる涙の原因

犬と猫では、涙が増える原因がそれぞれ異なることがあります。

<犬の涙の原因>

犬では、涙の排出経路である鼻涙管が詰まったり狭くなったりすることで、涙が目からあふれ出る「流涙症」がよく見られます。この症状は、特に以下のような特徴を持つ犬種で多く見られます。

短頭種(パグ、シーズー、フレンチブルドッグなど):顔の構造上、鼻涙管が狭くなりやすいため発症しやすい傾向があります。
アレルギー:花粉やハウスダストなどのアレルギーによる結膜炎が原因で涙が増える場合があります。
角膜炎:角膜に傷がつくなどして炎症が起きると、涙が多く分泌されることがあります。

 

<猫の涙の原因>

猫では、慢性上気道感染症(いわゆる「猫風邪」)が原因で涙が増えることが一般的です。これに伴って結膜炎が起こり、涙が過剰に出ることがあります。

猫ヘルペスウイルス:猫に多いウイルス感染症で、角膜炎を引き起こすことがあり、涙の分泌が増えます。
慢性上気道感染症:鼻水やくしゃみとともに結膜炎が見られ、涙が増える症状が続くことがあります。

 

涙が多くなる主な原因

愛犬や愛猫の目から涙が多く出る原因には、以下のようにさまざまな要因が考えられます。

<アレルギー性の原因>

花粉やハウスダスト、カビなどのアレルゲンが目を刺激し、涙の分泌が増えることがあります。アレルギー性の症状は、季節の変わり目に特に悪化しやすい傾向があります。

 

<季節性の要因>

春や秋など、特定の季節に見られる環境の変化(花粉の飛散量増加や空気の乾燥など)が涙の増加を引き起こすことがあります。

 

<感染性の原因>

細菌やウイルスによる感染症も、涙が多くなる主な原因の一つです。これらには次のような疾患が含まれます。

結膜炎:細菌やウイルスが目の粘膜に炎症を引き起こすことで発症し、涙の分泌が増えます。目やにや充血を伴うことが多いです。
角膜炎:目の表面である角膜が傷ついたり細菌やウイルスが感染したりすることで、涙が過剰に分泌されます。症状が進行すると痛みや視力障害を引き起こす場合もあります。

 

<まつ毛や眼瞼の異常>

目の構造的な問題も涙が増える原因となります。

睫毛乱生(しょうもうらんせい):まつ毛が異常な方向に生え、目を刺激する状態です。
逆さまつ毛:まつ毛が内側に向かって生え、角膜や結膜を刺激することで涙が増えます。
眼瞼の形成異常:まぶたの形に異常があると、目が保護されにくくなり、涙が多く分泌されることがあります。

 

こんな症状が出たら要注意

愛犬や愛猫の目に次のような異常が見られた場合、目の健康に問題がある可能性があります。早めの対応を心がけましょう。

・目やにの性状や色の変化
通常の透明な涙や白っぽい少量の目やには問題ありませんが、黄色や緑色の粘り気のある分泌物に変化している場合は、感染症の可能性があります。

・目の充血や腫れ
目の充血やまぶたが腫れている場合は、炎症や感染が進行している可能性があります。

・行動の変化
目を頻繁に擦る、まばたきが増える、光を嫌がるといった行動も、目の異常を示すサインです。

 

<緊急性の高い症状>

以下の症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。

物にぶつかるなどの急激な視力低下が疑われる行動
強い痛みを伴う様子を示す(鳴く、目に触らせないなど)
眼球の突出や目の形に明らかな異常がある

 

治療法と対策

治療法は原因によって異なりますが、一般的には点眼薬や内服薬による治療が行われます。

まず、アレルギー性の場合には、抗アレルギー薬や消炎薬を使用して目の炎症やかゆみを抑える治療が行われます。

一方、細菌やウイルスが原因の感染性の場合には、抗生物質や抗ウイルス薬が点眼薬や内服薬の形で処方されることが一般的です。

鼻涙管が閉塞している、または狭窄していることが原因の場合、涙管を洗浄して詰まりを取り除く処置が必要になることがあります。さらに、涙管が極端に狭い場合には、拡張術と呼ばれる外科的な処置が行われることもあります。

まつ毛が異常な方向に生える睫毛乱生や逆さまつ毛が原因であれば、目を刺激しているまつ毛を取り除く処置が必要です。また、眼瞼の形成異常が原因の場合は、まぶたの形状を修正する外科的手術が行われる場合があります。

 

日常的なケアと予防

目を健康に保つためには、日頃からのケアが欠かせません。
まず、目の周りを清潔に保つことが非常に重要です。1日1〜2回、清潔で温かいタオルを使い、目の周りを優しく拭き取るようにしましょう。
この際、ゴシゴシと強く拭くのではなく、目やにや汚れをそっと取り除くことを心がけてください。

また、長毛種の犬や猫では、目の周りの毛が目に入って刺激を与えることがあります。これを防ぐために、目の周りの毛を短くカットしておくとよいでしょう。
毛をカットする際は安全に配慮し、必要に応じてトリマーや動物病院に相談してください。

予防策として、生活環境を整えることも大切です。
室内の掃除をこまめに行い、ホコリやアレルゲンとなる物質を減らすようにしましょう。空気清浄機を使うと、空気中の花粉やホコリを効果的に取り除くことができます。

また、愛犬や愛猫が使う寝具を清潔に保つことも重要です。定期的に洗濯をして、清潔な環境を維持するように心がけてください。

さらに、定期的なグルーミングも目の健康維持に役立ちます。被毛の状態を整えることで、目の周りの清潔を保ち、目に毛が入るのを防ぐ効果があります。

普段から愛犬や愛猫の目の状態をよく観察し、少しでも異常が見られた場合には、早めに動物病院に相談するようにしましょう。

 

定期検査の重要性

愛犬や愛猫の目の健康を守るためには、定期的な健康診断が非常に大切です。
定期検査を受けることで、目に異常があった場合でも早期に発見することができ、適切な治療を速やかに開始することが可能になります。

特に高齢の犬や猫、そして一部の犬種や猫種では、目の病気が起こりやすいため、定期的な検査がとても大切です。
例えば、パグやシーズーなどの短頭種の犬や、ペルシャなどの猫は、顔の形の特徴から目が乾きやすかったり、涙がうまく流れにくかったりすることがあります。そのため、目のトラブルが起こりやすい傾向があります。

また、加齢に伴い涙の分泌量が減少したり、眼圧が変化したりすることで、さまざまな目の病気が発生しやすくなります。

眼科の検査内容としては、以下のようなものがあります。

シルマーテスト:涙量を測定し、ドライアイなどの疾患を診断します。
眼圧測定:緑内障の早期発見に役立つ重要な検査です。
細隙灯顕微鏡検査:目の表面や内部の構造を詳細に観察し、異常を確認します。

これらの検査は、目に現れる異常を正確に把握するために欠かせません。

 

まとめ

愛犬や愛猫の涙の異常は、目の健康に関わる大切なサインであり、場合によっては目の病気が隠れている可能性もあります。日頃から目の様子をしっかりと観察し、清潔を保つケアを行うことが、健康を守る第一歩です。

また、定期的な健康診断を受けることで、目の異常を早期に発見し、適切な治療を進めることができます。

症状を自己判断で放置することは危険を伴う場合があるため、少しでも気になることがあれば迷わず獣医師に相談してください。愛犬や愛猫の健康と笑顔を守るためには、日々のケアと動物病院での診察を習慣にすることが大切です。

 

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