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2025.02.17  もう迷わない!愛犬・愛猫の歯周病、予防から治療まで完全ガイド

愛犬や愛猫の歯の健康に悩む飼い主様は多く、中でも歯周病は見逃せない病気のひとつです。歯周病は痛みを伴うだけでなく、進行すると食欲の低下や、歯周病菌が血流に乗ることで心臓や腎臓など全身の健康に悪影響を及ぼすこともあります。

今回は、犬や猫の歯周病の基礎知識、予防法、治療法、そしてよくある誤解について詳しく解説します。

■目次
1.歯周病とは?
2.歯周病の予防法
3.歯周病の治療法
4.よくある誤解
5.まとめ

 

歯周病とは?

歯周病とは、歯と歯茎の周囲に炎症が起こり、進行すると歯を支える骨が破壊される病気です。犬や猫の歯周病は、進行度によって以下の4段階に分類されます。

1. 初期段階(歯肉炎)
歯茎が赤く腫れ、少しの刺激で出血がみられます。口臭が強くなることも特徴的です。

2. 中期段階
炎症が進行し、歯と歯茎の間にポケット(隙間)ができます。歯茎からの出血が増え、歯のぐらつきが感じられます

3. 重度段階
歯を支える骨が破壊され、歯が大きくぐらつき、痛みが強くなります膿が出ることもあります。

4. 末期段階
歯が抜け落ちる、または抜けかけた状態になり、歯周病菌が全身に広がるリスクが高まります。

 

人間と異なり、犬や猫は痛みを訴えられないため、進行に気づきにくいという特徴があります。

 

歯周病の予防法

歯周病の予防には、毎日のケアが欠かせません。ご家庭でできるケア方法を紹介します。

 

<歯磨き>

最も効果的な予防方法は歯磨きです。歯垢をしっかり取り除くことで、歯石の形成を防ぐことができます。
歯磨きを嫌がる場合は、無理に行わず、愛犬・愛猫のペースに合わせて少しずつトレーニングを進めることが大切です。毎日短時間でも継続することで、徐々に慣れさせましょう。特に猫は長時間のケアを嫌がる傾向があるため、短時間で終えるように心がけ、無理に続けないことも重要です。また、歯磨きを行う時間を一定にすることで、犬や猫が習慣として受け入れやすくなります。

 

<デンタルフードやデンタルおもちゃの活用>

デンタルフードは、噛むことで歯垢を削ぎ落とす効果が期待できます。また、歯の表面を清潔に保つ効果があるデンタルおもちゃも有効です。ただし、硬すぎるものを選ぶと歯が欠けるリスクがあるため、適度な硬さのものを選び、安全に使用することが重要です。

 

歯周病のケアの基本は毎日の歯磨きですが、歯磨きを嫌がる場合は、デンタルケアグッズを活用しながら少しずつケアを取り入れましょう。それでも難しい場合は、獣医師に相談し、愛犬・愛猫に合った無理のない方法を取り入れることをおすすめします。

 

歯周病の治療法

歯周病が進行してしまった場合は、動物病院での治療が必要になります。一般的な治療の流れを紹介します。

 

<診察>

まず、歯周病の進行度を確認し、歯石の付着状況や歯茎の状態を詳しくチェックします。その後、歯や顎の骨を撮影するレントゲン検査を行い、歯周病がどの程度進行しているかや、骨への影響があるかを確認します。また、全身麻酔を安全に実施できるかどうかを判断するための検査も併せて実施されます。

 

<スケーリング(歯石除去)>

治療は全身麻酔をかけた状態で行われます。歯の表面に付着した歯石だけでなく、歯茎の下に入り込んだ歯石も丁寧に取り除きます。さらに、歯の表面を磨き上げることで、新たな歯石の付着を防ぎます。進行度によっては、抜歯が必要になることもあり、その場合は適切な処置が行われます。

 

<術後管理>

治療後は、必要に応じて抗生物質や痛み止めを投与し、炎症の抑制や術後の経過を観察します。

 

歯周病を放置すると、歯を失うだけでなく、歯周病菌が血流に乗り、心臓や腎臓など全身の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるため、早めの治療が重要です。

 

よくある誤解

【誤解1】歯石がついていなければ歯周病ではない
目に見える歯石がなくても、歯周病が進行していることがあります。歯茎の炎症や口臭の有無も確認しましょう。

【誤解2】歯周病はシニアになってからの病気なので、若いうちは気にしなくていい
若い犬や猫でも発症します。特に小型犬は歯周病になりやすいため、年齢を問わずケアが必要です。

【誤解3】痛がっていないなら問題ない
動物は痛みを伝えられず、特に猫は痛みを隠す傾向があるため、飼い主様が気づいたときには病気が進行していることがあります。定期的なチェックが必要です。

【誤解4】ドライフードを食べていれば歯周病にならない
通常のドライフードだけでは、予防として不十分と言わざるをえません。歯垢を効果的に除去するためには、毎日の歯磨きが基本となります。

【誤解5】抜歯は最後の手段
重度の歯周病では、抜歯が最善の治療法となることがあります。早期に抜歯を行うことで、全身の健康状態が改善するケースも少なくありません

 

まとめ

愛犬や愛猫の歯周病は、早期発見と予防が何より重要です。日頃から歯のケアを習慣づけ、定期的に動物病院で歯の健康をチェックすることをおすすめします。
気になる症状がある場合は、自己判断で放置するのではなく、獣医師と相談しながら適切なケアと治療を行うことが大切です。歯の健康を守ることは、愛犬や愛猫が生涯にわたって元気に過ごすための鍵となります。歯のケアについて気になることがあれば、お気軽に当院までご相談ください。

 

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